特別縁故者への相続財産分与の流れ

相続人がいない場合 特別縁故者への遺産分与とその流れ

相続人が誰も存在しないというのは、一般的に見れば滅多にないようにも感じられますが、実際にはよくあるケースです。

 

たとえば、被相続人の法定相続人がすでに亡くなっていたり、法定相続人となり得る者が全員相続放棄をしてしまった場合などです。こういった場合、相続人不存在として利害関係人の申立てによって、家庭裁判所から相続財産管理人が選任されることになります。

相続財産管理人は相続人調査を行う

相続財産管理人が行う職務の1つに、相続人調査というものがあります。表面上は相続人がいない場合であっても、戸籍の記入ミスであったり、認知請求前の子がいたりする可能性は否定できません。
そこで、家庭裁判所は相続財産管理人に調査を任せるのです。

 

裁判所と相続財産管理人は官報(国が発行する機関誌のこと)などを利用し、被相続人の相続債権者受遺者(財産を遺贈された者)、相続人と名乗る者がいないかどうかを捜索します。
こうした捜索がすべて行われたにも関わらず、それでも相続人が判明しないようであれば、相続財産は国庫へと移転されることになります。

 

特別縁故者がいる場合は遺産分与も

上記のように、相続権を主張する者が見つからなかった場合、相続財産は国庫へと移転されることになりますが、特別縁故者がいる場合は例外的に遺産分与が認められることもあります。

 

特別縁故者とは、被相続人が生前、被相続人と共に生計を営んでいたり、療養看護に勤めたりといったように、なにかしらの特別な縁故があった者のことをいいます。

 

内妻などがこれに当たると言えるのですが、内妻は法定相続人にはなることはないため、いくら被相続人に尽くしてきたとしても、一切の財産を受け取ることができないのです。それでは不憫だということで、特別縁故者への遺産分与が、相続財産管理人と裁判所の判断によって認められることがあります。

特別縁故の申立てについて

なお、特別縁故の申立てについては、相続人不存在の公告期間の満了から3ヶ月以内とされています。

 

相続人不存在の公告は、上記した相続財産管理人の職務の1つである、相続人捜索の公告の終了から6ヶ月後になされることになっています。この期間を過ぎてしまうと、すべての相続財産は国庫へと帰属することになりますので、期間については気を配るようにしましょう。

 

また、特別縁故の申立て自体について不安がある場合は、専門家に早目に相談をするようにし、期間についてもしっかりと配慮しつつ、申立てのサポートをしてもらってください。