相続財産の範囲を確定 遺産確認の訴え・遺産確認訴訟

遺産確認の訴え(遺産確認訴訟)で相続財産の範囲を確定させる

被相続人が残していったこの財産は、果たして相続財産の範囲に含まれるのか?含まれないのか?といった問題は、比較的発生しやすい問題といえます。

 

こうした問題が相続人同士の話し合いによって解決できれば良いのですが、どうしても解決しない場合には、「遺産確認の訴え(遺産確認訴訟)」を利用するしか解決する方法はありません。

 

遺産確認が必要となる具体例

たとえば、被相続人に2人の子どもがいたとして、被相続人が二男名義でのみ預金通帳を作っており、本人には内緒で積み立てをしていたとします。名義自体は二男になってはいるが、被相続人が残した財産には違いないため、長男が「この預金は相続財産の分割対象として取り扱われるべきではないか?」と主張し、二男が「いや、これは私名義の預金なので私が取得すべき財産だ!」といった具合に、残された遺産の範囲について相続人の間で争いが生じた場合、遺産確認が必要となります。

 

 

相続財産の範囲はとても重要

なにを相続財産として分割の対象とすべきかというのは、一人一人の相続分に影響してくるため、相続では非常に重要な問題となります。この範囲が確定されないということは、いつまで経っても遺産分割協議が終了しないことと同義です。
相続人全員が相続財産の範囲について共通の認識を持っているのであれば、なんら問題はありませんが、ここにずれが生じていて、話し合いでの解決が困難である場合は、下記した方法にて遺産の範囲を確定させなければなりません。

 

相続財産の範囲を確定させる方法

相続財産の範囲について、相続人全員による話し合いで解決できない場合、裁判所での手続きを利用する他ありません。利用できる手続きとしては下記のものとなっています。

 

遺産分割調停

遺産分割協議による話し合いを裁判所での調停手続きにまで拡大させます。
調停の場では、裁判官に加え、一般有識者である調停委員が話し合いに参加してくれますので、相続財産の範囲について、素人である相続人同士で話し合っているよりも、調停委員の助言によって話し合いがまとまる可能性は十分にあります。

 

遺産分割審判

上記した調停での話し合いでも解決が困難である場合は、遺産分割審判へと移行することがあります。こちらは、裁判官の判断で相続人それぞれの相続分を決定する手続きになります。ただし、この決定には相続財産の範囲までを確定する効力はありません。

 

遺産確認訴訟

相続財産の範囲について納得できないという場合は、遺産確認訴訟を起こすしかありません。双方の主張によって、最終的に裁判官が判決によって相続財産の範囲を確定させます。
なお、この訴訟については、管轄となる裁判所が調停や審判を取り扱う家庭裁判所ではなく、地方裁判所に訴えを提起する必要があり、また、相続人全員が当事者となる必要があります。

 

○参考ページへリンク
 遺産確認のために裁判所を利用する際、被相続人の住民票の土地を管轄する家庭裁判所へ
 →相続開始地とは?管轄裁判所がどこになるのか

 

 遺産分割調停や審判を考えているときの参考ページはこちら
 →遺産分割の調停・審判の手続き
 →揉めない遺産分割 調停