相続放棄の取り消し手続き

一度してしまった相続放棄を取り消すことはできるのか?

いったんしてしまった相続放棄は、原則として取り消すことができません。

 

ただし、詐欺や強迫といった行為が原因となって相続放棄をしてしまった場合、一定期間内であれば取り消し手続きをすることが可能となっています。騙されて相続放棄をした者が損をして、騙して相続放棄をしなかった者が得をするのを回避するためにこういった制度が設けられています。

 

また、この他にも強引な手段によって相続放棄を取り消すことも可能となっています。

 

というわけで今回は、いったんしてしまった相続放棄を取り消す方法についてご紹介します。

 

相続放棄の取り消しは6ヶ月以内

詐欺や強迫といった行為によって、その事実を知らずに、または自分の意思がないにも関わらず相続放棄をしてしまった場合、6ヶ月以内であれば相続放棄の取り消しが認められることがあります。

 

この6ヶ月という期間は、民法でいうところの追認(不完全な法律行為を後から完全に有効にする意思表示のこと)が出来る期間と同様で、事実を知ったときから6ヶ月の経過によって時効となり、取消権が消滅することになっています。

 

また、事実を知らなかった場合も相続放棄から10年の経過によって取消権が消滅することになっています。

 

 

 

取り消しの手続きは家庭裁判所にて

上記の理由によって、相続放棄の取り消しがしたい場合、家庭裁判所にて「相続放棄の取り消しの申述」をする必要があります。
管轄となる家庭裁判所は、相続開始地、つまり、相続放棄をした裁判所と同じ家庭裁判所となっています。

 

とはいえ、相続放棄の取り消しは原則として出来ないことには変わりないため、しっかりと取り消したい事情を説明できなければなりません。

 

場合によっては、専門家に依頼をし、専門家から説明をしてもらい、より確実に相続放棄を取り消してもらえるように準備をしましょう。

 

強引な取り消し方法について

上記の相続放棄の取り消しの申述ではなく、もっと強引に相続放棄を取り消す方法もあります。
それは、相続財産を勝手に処分してしまう行為です。これによって、相続放棄は取り消され、単純承認をしたとみなされることになります。

 

こちらは通常、マイナス財産のほうが多いことを理由に相続放棄をしたにも関わらず、一部のプラス財産を隠し持っていた者に対する対策として設けられた制度ですが、これを逆手に取って、相続放棄を取り消してしまおうといった方法です。

 

ただし、この方法は法の抜け道的な行為に該当するため、利用を検討している場合は、必ず事前に専門家に相談をするようにしましょう。

○参考ページへリンク
 相続の単純承認は、通常何もしない状態で、特に申し立てなどをしなかった場合にする相続の方法です。
 →相続の承認の手続き 法定単純承認の3パターン