「相続分が無いことの証明書」の偽造の被害とは

「相続分が無いことの証明書」が偽造されてしまったとき

もし、「相続分が無いことの証明書」が偽造されてしまったとしたら、どのような不利益を被ることになるのでしょうか?
また、なにかしら対処する方法はないのでしょうか?

 

そもそも相続分が無いことの証明とは、特別受益があった場合などに、すでに自身には相続分がないことを証明する際などに利用される書面です。たとえば、相続登記や預金口座の名義変更といった場合も、遺産分割協議書の代わりに印鑑証明書と併せて提出することが多いと言えます。

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 相続分の無いことの証明書は、「相続分皆無証明書」といい、本来は意図した相手に相続分を譲り渡したい時に使用することが多いです。
 →相続分の放棄の活用方法と注意

 

偽造されることはほとんどないと言えるが・・・

上記のように、相続分が無いことの証明書は印鑑証明書も併せて提出しなければ効果が生じることはありません。ということは、印鑑証明書も偽造しなければならないのです。

 

印鑑証明書は自身にしか取得することができませんし、発行される書面自体にも偽造がされないように特殊な用紙が使用されています。よって、偽造までされてしまうことはほとんどないと言えます。

 

しかし、実際に偽造されてしまったケースも過去にはありますし、他の手続きで利用した証明書をそのまま流用するといった手口も見受けられます。
やはり注意しておくに越したことはありません。

 

流用・偽造されると悪用される可能性は大

いったん流用や精巧な偽造がされてしまえば、悪用される可能性は大となっています。
というのも、原則として印鑑証明書は本人にしか取得できない公的書類になっていますので、そう簡単に他人が取得できるものではありません。

 

また、法務局も取得方法までを疑うことはないため、そのまま受理されてしまう恐れは十分にあります。もし受理されてしまうとなれば、自身の知らないところで相続登記や預金口座の名義変更がされてしまうことも十分にあり得るということです。

 

流用・偽造は犯罪行為に違いない

流用や偽造といった被害にあってしまった場合、刑事事件として告訴することも可能です。相続に関連している以上、親族間での問題になることが多く、刑事告訴にまで発展することは滅多にありませんが、流用や偽造は犯罪行為に違いありません。

 

もし仮に、こういった悪意ある行動を事前に発見できた場合、刑事告訴しないことを条件に遺産分割協議を有利に進めていくことも可能となります。

 

しかし、本来であれば流用や偽造といった犯罪行為はないに越したことはありません。簡単に利用されてしまわないように、証明書といった公的書類は、たとえ家族であっても理由もなく渡さないように注意してください。