認知された子の相続と被相続人の戸籍

被相続人が認知した子にも相続権が発生

相続権が発生するのは、なにも遺族が把握している者だけではありません。被相続人の子であれば、相続権は発生することになりますので、遺族が把握しているか、していないかというのは、相続においてはまったく関係がないのです。

 

そこで、相続が開始した際は、必ず被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せる必要があります。
実際に取り寄せてみると、遺族の誰も知らなかった被相続人の子が過去に認知されているかもしれないのです。

 

わざわざ戸籍を取り寄せる理由

死亡時の戸籍だけを取り寄せても、そこに過去の婚姻歴や認知された子というのはすべてが記載されているわけではありません。

 

戸籍は過去に何度か改製を繰り返していますので、改製前と後では記載する内容を省略していることもあるのです。

 

また、多くの相続に関連する手続きでは、必ずといっていいほど被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の提出を求められることになりますので、戸籍の取り寄せは必ず行うようにしましょう。

○参考ページへリンク
 相続人の確定のためには、被相続人と相続人の戸籍を生前から死亡まですべて集める必要があります。
 →相続人を調査する|戸籍を調べて相続人を確定させる

認知された子がいた場合は

戸籍をたどっていたところ、過去に被相続人によって認知された子がいた場合、その子には当然ながら相続権が発生することになります。
被相続人の子である以上、認知された子を無視するわけにはいきません。

 

もし仮に、被相続人によって認知された子がいるにも関わらず、その存在を無視してしまったり、そもそも調査自体をしていなかったりといったことが後から判明した場合、その時点でなされていたすべての遺産分割協議は無効となりますので注意してください。

 

相続回復請求権の時効に注意

また、認知されていた子がいたとしても、その子はそもそも相続があったことすら知る機会がない可能性が十分にあります。そういった場合、相続回復請求権を行使することによって、さかのぼって相続権を実現させることも可能です。

 

ただし、相続回復請求権は、自らの相続の侵害をしったときから5年、または、相続開始から20年が経過することによって時効により権利行使ができなくなってしまいます。

 

認知されていない子がいた場合は

なお、認知がされていなかったのであれば、戸籍に記載もありませんので、知らずに遺産分割協議を進めてしまっていたとしても仕方がありません。

 

ただし、認知がされていなかったからといって、被相続人の子であることは変わりありません。
そこで、認知されていない子は、父母の死亡から3年以内であれば認知の訴えを起こすことが可能とされています。

 

この訴えによって認知が認められれば、相続開始時点で認知されていなかったとしても、相続権が発生することになっています。