相続における遺産分割のトラブルや手続き

生前1年以内に贈与を受けたものは相続財産に入る

被相続人が亡くなる前にすべての財産を贈与してしまった場合、残された相続人は一切の財産を相続することができなくなってしまいます。これを阻止するという意味で、亡くなる1年以内にあった贈与は、すべて相続財産として計算されることになっているのです。

 

つまり、被相続人が亡くなる1年以内に特定の誰か(相続人でなくても)に財産を贈与していたとしても、その贈与自体が無効となり、贈与されていた財産はすべて相続財産の中に組み込まれることになります。

 

相続人に対しては特別受益として計算

なお、上記の贈与は特定の誰かに対するものであって、相続人であってもなくても関係なく無効となります。

 

ただし、相続人への贈与である場合、一定の贈与に関しては「特別受益」として計算がされることになっています。

 

特別受益があると、特定の相続人が生前贈与や遺贈によって利益を得ていた場合、他の相続人に対して不公平がないように、特定相続人が得ていた利益については、自己の相続財産から差し引かれるといった取り扱いをします。
こちらに関しては、被相続人が亡くなる1年以内といった規定はなく、すべての特別受益が対象となっています。

 

特別受益に含まれる財産とは?

では、いったいどういった財産の贈与が特別受益に含まれることになるのでしょうか?

 

特別受益に含まれる財産は、以下のものとなっています。

  • 婚姻や養子縁組のためにあった生前贈与

    主に持参金や支度金といったものです。ただし、挙式費用は特別受益には含まれないのが一般的です。婚姻や養子縁組に際して、必要になった贈与のみとなっています。

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  • 生計資金としての生前贈与

    たとえば、住宅購入資金の援助や、学費といったものがこちらに含まれます。ただし、新築祝いなどの親族間のお付き合いによるものは含まれないことになっています。

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  • 特定の相続人が遺言によって受けた遺贈

    特に遺言書にて遺贈を特別受益に含まない旨の指示がなければ、遺贈によって受けた財産はすべて特別受益として取り扱われることになっています。

 

 

・特別受益とは―特別受益がある場合の相続
・特別受益の計算方法―相続額の計算