遺言書の隠匿行為と相続欠格とその後の相続権

不利な遺言書を隠してしまった場合は相続欠格になるのか?

相続人の1人が、自身に不利な遺言書が残されていたことに気付き、他の相続人に見つからないようにこっそり遺言書を隠していたことが発覚した場合、その相続人は相続欠格になってしまうのでしょうか?

 

今回は、上記したようなトラブル、遺言書を隠してしまった場合は相続欠格になるのか?をテーマにご説明します。

 

遺言書の隠匿行為は相続欠格事由

上記の答えは、遺言書を隠していた相続人は相続欠格となってしまいます。
相続欠格になるということは、相続権を失ってしまうということです。つまり、一切の財産を相続する権利を失ってしまうのです。

 

ただし、隠していたわけではないと主張されてしまえば、本当に隠していたのかどうかを立証するのは非常に困難と言えます。

 

確かに、遺言書の隠匿行為は相続欠格事由に該当する悪質な行為ではあるのですが、積極的に隠匿行為をしていたという事実までが明らかにならないことには、相続欠格が適用されるかどうかについては微妙なところです。

 

こうした問題が裁判にまで発展する事案はよく見受けられます。

○参考ページへリンク
 隠匿以外では、偽造・変造も相続欠格事由に値します。
 →相続欠格とは?相続人の資格を失う場合

相続欠格とまではならなくても行政罰が

また、相続欠格とまではならなくても、遺言書をいつまでも自らの手元に置いていたとなれば、行政罰を受けることもあります。

 

通常、遺言書というものは発見され次第、家庭裁判所にて遺言の検認手続きを経なければなりません。これを長期間しないでいたり、勝手に遺言書を開封したりしてしまった場合、5万円以下の過料に処されることがあるので注意が必要です。

 

相続欠格後の財産はどうなる?

相続人の1人が相続欠格とされた場合、相続権は他の者に移ることになります。

 

同順位の相続人が他にいなければ、後順位の相続人へと相続権が移動するのです。

 

ただし、相続欠格であっても代襲相続は発生することになっているため、相続欠格とされた相続人に子がいるのであれば、その子が代襲相続をすることになり、後順位者に相続権がいくことはありません。

 

 

 

 

 

 

 

○参考ページへリンク
 相続放棄と異なり、相続欠格の場合は、子供がいればそこの子供へ相続権が移行します。
 →法定相続人の順位とその相続分