非嫡出子の法定相続分

非嫡出子の法定相続分

みなさんは非嫡出子(ひちゃくしゅつし)という言葉をご存じでしょうか?
あまり聞き慣れない言葉ですが、こちらは法律用語で「法律上の婚姻関係にない男女の間から産まれた子ども」のことを指しています。

 

これとは逆に、「法律上の婚姻関係にある男女の間から産まれた子ども」は嫡出子(ちゃくしゅつし)と呼ばれています。
つまり、内縁関係や事実婚といった、法律上の婚姻関係があるかないかによって、その子どもは嫡出子・非嫡出子という呼び名によって区別がなされています。

 

嫡出子というのは単に被相続人の子と言えますが、非嫡出子の場合、法定相続分というのはどのような取り扱いがされているのでしょうか?

 

現在、相続における区別は撤廃された

以前まで、非嫡出子の場合、相続の際の法定相続分は、嫡出子の2分の1と定められていました。しかし、この区別は平成25年の民法改正にて撤廃されています。

 

よって、現在においては嫡出子であろうと、非嫡出子であろうと、法定相続分に差は一切ありません。

 

この法改正によって、平成13年7月〜平成25年9月4日までの間にあった相続の中で、まだ裁判所による判断の確定がなく、和解も成立していない場合、または、平成25年9月4日以降にあった相続、に関しては嫡出子と非嫡出子の相続分は同等とされることになっています。

 

上記に該当していない期間に関しては、すでに相続分は有効に確定されたこととし、さかのぼって無効になることはありませんので注意しましょう。

 

○参考ページへリンク
 嫡出子と非嫡出子では相続分に違いはなくなりました。必ず、後の争いを避けるために戸籍調査をしましょう。
 →認知された子と相続権の発生

 

被相続人に配偶者と嫡出子が1人、非嫡出子が1人ずついた場合

被相続人に配偶者とその子(嫡出子)が1人いて、非嫡出子が1人いたとなれば、その相続分は配偶者が2分の1、残った2分の1を嫡出子と非嫡出子で半分ずつ、つまり、嫡出子・非嫡出子と関係なく、被相続人の子が4分の1ずつ相続することになっています。

 

例:被相続人に配偶者と子が1人、非嫡出子が1人いて、遺産が1000万円あるとした場合
配偶者=500万円 配偶者との子(嫡出子)=250万円 非嫡出子=250万円

現在においても残っている区別

上記のように、嫡出子と非嫡出子の区別はなくなりましたが、「全血兄弟」「半血兄弟」という区別は現在(平成27年3月)においても残っています。全血兄弟というのは、被相続人と父母が同じ兄弟をいい、半血兄弟とは、父母の一方だけが同じ兄弟のことをいいます。

 

では、現在の配偶者との間に2人兄弟がいたとして、前妻との間に3人兄弟(母は違うが父は一緒の兄弟)がいた場合を例に詳しく見てみましょう。

 

前妻との間の子(長男)が亡くなり、その次男・三男(全血兄弟)と、現在の配偶者との間の長男・次男(半血兄弟)が法定相続人になったとします。つまり、兄弟姉妹の相続が発生した場合です。

 

この場合、全血兄弟の相続分を10としたら、半血兄弟はその半分の5となります。少し複雑でわかりにくいかもしれませんが、これが全血兄弟と判決兄弟の区別となっています。

 

例:被相続人に全血兄弟が2人と半血兄弟が2人いて、遺産が1500万円あるとした場合
被相続人の全血兄弟(次男)=500万円 (三男)=500万円 被相続人の半血兄弟(長男)=250万円 (次男)=250万円

こちらに関しては、あくまでも被相続人に配偶者や子どもがいなかった場合、つまり法定相続の順位が兄弟姉妹に回ってきた場合に限りますが、現在まで区別が残っている例として覚えておくようにしましょう。