形見分けの品は相続財産になるか
被相続人の遺品を整理する際、その遺品を親族や被相続人と縁のあった者に対して分け与えることを「形見分け」と言います。
ただし、何を持って形見分けと判断するかについては、実質的な部分が重視されるため、何もかもを形見分けだとして自由に分け与えることはできません。
では、どういった形見分けの品が相続財産になると言えるのでしょうか?
形見分けは基本的に相続財産にはならない
地域的な慣習などで、亡くなった方の遺品を分け与えるという行為は、厳密に言えば遺産分割の一部に入っているといえます。しかし、その遺品の価値などを鑑み、容認される程度の遺品であれば、遺産分割には含まないと言った取り扱いがされることになっています。
たとえば、亡くなった方が身に着けていた衣服や髪飾り、時計、書籍、家具、といったものが形見分けの対象になることが多いと言えます。
財産価値がまったくないとまでは言い切れませんが、相続争いにまで発展するほどのものでもない、といった物であれば基本的に問題はありません。
あまりにも高額な物は相続財産に含まれる
とはいえ、亡くなった方のアクセサリー類の中でも、何百万と価値のあるダイヤモンドの指輪などであれば、当然ながら相続財産に含まれることになります。
この基準というのは、明確なものがあるわけではありませんが、相続人同士において、「それくらいなら」ですむ範囲内なのか、「ちょっと待ってよ」と争いへと発展する可能性があるか、といった基準で良いでしょう。
相続人全員が許容しているのであれば、特に問題へと発展することはないと言えます。
形見分けで揉めてしまったら?
相続人同士が形見分けで揉めてしまった場合、当事者間の話し合いで解決できないのであれば裁判所による調停手続きを利用する他ありません。
また、これが原因となって遺産分割協議自体の進行が遅くなってしまうこともあります。
よって、自身の考えのみで形見分けを判断することだけはしないようにしましょう。
被相続人から生前に、この遺品はあの人に渡してほしいといった要望を聞いていたとしても、必ず相続人全員に確認をしてから形見分けをするようにしましょう。被相続人にお願いされていたからといって、それをそのまま実行してしまうと争いの種にもなりかねないのです。