心臓停止と脳死のどちらが死亡か

心臓停止と脳死、死亡時はどちらか?

一般的には、脳死ではなく、心臓の停止を死亡のタイミングとしています。

 

死亡に立ち会った医師により心臓の停止が確認され、その後、医師が時計を見ながら死亡時刻を読み上げます。
この時刻が死亡時刻になり、死亡診断書にも記載されることになっています。

 

医療の発達が著しいがため不明瞭に

とはいえ、現在は医療の発展が著しく、心臓がなかなか停止しなかったり、人口心臓なども導入されたりもしていますので、死亡時刻という意味では、少しばかり不明瞭になってきています。

 

かなり稀なケースではありますが、死亡時刻が数分違うだけで、相続人や相続分が変わってしまうこともあるため、死亡時刻について裁判で争われることもあります。
しかし、あくまでも心臓の停止が死亡の基準であることに変わりはないようです。

○参考ページへリンク
 同時死亡の推定のように、死亡と同時に相続が開始するため少しの違いで相続に変化が出てしまいます。
 →同時死亡の推定とは?前後関係が不明なら同時として扱う

脳死の死亡時刻について

また、近年では、医療の発達が法整備に追いついていないという懸念もあります。

 

その1つが臓器移植による問題です。
たとえば、人口心臓によって心臓は停止してはいないが、すでに脳死が認められる段階にある場合、いったい、どの日時をもって脳死と認定し、死亡診断書に記載すべきか?については、確定的なことが定められていません。

 

一応、「臓器の移植に関する法律」によれば、脳死の死亡時刻は2回目の脳死判定の検査終了時とし、死亡診断書の記載に関しては、2回目の検査終了時の時刻だけでなく、1回目の時刻についても記載すべきとしています。
これではどちらを優先すべきかで争いが生まれるといえます。

 

これから法整備していかなければならない

上記したような死亡時刻の記載では、相続人の確定に支障が出てしまう可能性が十分に考えられるにも関わらず、現在(平成27年5月)、それに対応する法律がいまだありません。

 

相続と死亡は切っても切れない関係にあるのですが、医療の発達に法整備が追いついていないことは否めず、今後、刑法や民法にて、どのような改正がなされていくことになるのか?については、ますます注目を集めていくことになるでしょう。