死亡認定と法的効果

死亡の認定とタイミング、法的効果について

死亡は原則として、医師が判断することになっています。ただし、死亡には一般的な死亡である「自然死亡」の他にも、失踪宣告や認定死亡といった「擬制的死亡」、つまり、死亡の確認はできていないが、死亡したものとみなすことによって、死亡と同様の法的効果を及ぼすものもあります。

 

この2つが、主に死亡の判定になり得るタイミングと言えます。

 

自然死亡の認定について

自然死亡が認定されるのは、主に2つの書面の交付がなされたときです。

 

まず1つめが、「死亡診断書」になります。こちらは、病院で死亡した際に医師によって作成されるものです。
医師以外が作成して良いものではありません。死亡診断書には、死亡の時刻が記載されています。なお、死亡時刻は相続において非常に重要な位置付けになります。

 

2つめとして、「死体検案書」があります。こちらは、病院以外での死亡の場合、つまり交通事故で言えば事故現場にて、すでに死亡していた場合に作成されます。
警察が死体の検案を行いますので、その際に立ち会った医師によって作成されるのが死体検案書です。

 

擬制的死亡の認定について

擬制的死亡が認定されるのは、2つの場合があります。
まず1つめが、「認定死亡」が認められた場合です。

 

認定死亡は、死体がどうしても発見されない場合、調査にあたった官公署の死亡報告に基づいて、役所が戸籍簿に死亡の記載を反映させることいいます。
戸籍簿への反映によって、死亡したとみなされます。

 

次に、「失踪宣告」が認められた場合です。
失踪宣告は、一定の要件(詳しくは、「失踪宣告・死亡が確認できない場合の相続」)を満たしていた場合に、家庭裁判所にて手続きを行い、裁判官から失踪宣告が認められると、死亡と同様の効果が生じるというものです。

○参考ページへリンク
 行方不明となった場合、通常は7年、災害などは期間に関係なく死亡したとみなすことが出来ます。
 →行方不明者の失踪宣告と相続

死亡の認定による法的効果

上記によって死亡が認定されると、相続開始という法的効果が生じることになります。

 

相続が開始することによって、相続人とそれぞれの相続分・遺留分が確定され、相続財産における債権債務(プラス財産とマイナス財産)が承継されることになります。
こちらの起算点は、すべて死亡時刻が基準となっています。

 

なお、相続放棄や限定承認といった手続きの場合、死亡時刻ではなく、その翌日から3ヶ月、または、死亡の事実を知ったときから3ヶ月とされていますので、こちらも忘れないようにしておきましょう。