はじめての遺産相続

はじめての遺産相続、まず何をする?

相続は、被相続人が死亡したときに開始します。

 

ですので、死亡後の手続きとして葬儀の手配などと合わせて準備していく必要があります。葬儀の費用に関しては、地域の慣習もかかわってきますが、祭祀承継者が出す場合、相続人全員で後ほど精算する場合、相続財産から清算する場合などがあります。

 

全体の流れと要点をまとめ

 

1.相続人の確認

まず、相続を受ける人(相続人)が誰かを確認する必要があります。
この相続人は、法定相続人と呼ばれる、法律で定められた被相続人の配偶者、子供、父母、兄弟のうち、優先順位の高い順になると決められています。相続人が既に死亡しており、その子供がいる場合、代襲相続としてその子供が相続人になる場合もあります。

 

被相続人に配偶者がいれば、配偶者は必ず相続人になります。配偶者は、相続において別格扱いです。
なお、通常、戸籍上に記載のない内縁の妻は相続人として認められません。
この相続人を決める確認方法としては、基本的には被相続人、相続人の戸籍を出生から死亡まですべて取り寄せることを行います。

 

もし子供がいれば、相続人は配偶者と子供といった具合になります。配偶者がおらず、子供だけがいる場合は、子供だけが相続人になります。
配偶者、そして子供がいない場合は、父母が相続人になります。父母がいないと兄弟が相続人になるといった順番になっています。

 

2.遺言書の有無

相続人の確認と同時に、遺言書がないかも探しておきましょう。
もし、自筆証書遺言(手書きの遺言書)があれば、開封せずに、家庭裁判所へ検認の申し立てをします。
開封してしまうと罰金が発生しますので、注意が必要です。
遺言書は改竄や隠してしまうと相続人になれなくなりますので、見つけたら速やかに対応しましょう。

 

公正証書遺言が見つかった場合は、原書が公証役場にありますので、開けて問題ありません。内容を確認しましょう。公正証書遺言に関しては、平成元年以降であれば、全国の公証役場で作成しているかを確認できるようになっています。自宅で遺言が見つからなかった場合も、一度問い合わせをして確認をしましょう。

 

遺言書が見つかった場合は、基本的にはその遺言書の内容に沿った遺産分割となります。
記載されている、相続人(法定相続人以外の可能性もあります)、記載している相続分、遺言執行者によって分割することになります。ただし、被相続人の兄弟以外の法定相続人で相続分が全くなかった場合は、遺留分の請求が可能です。

 

自筆証書遺言の場合、日付がなかった、訂正方法の間違いがあった、などで無効となることも多いです。残念ながら、遺言書が無効になると、その遺言書は初めからなかったことになります。

 

遺言書がなかった場合、または無効になった場合は、法定相続人、法定相続分で分割するのが基本となります。相続人全員で、確認しましょう。それと同時に、肝心の相続財産(遺産)に何があるのかをリストアップしていきます。不動産に関しては、算出方法が様々ありますので、その場合に合わせた算出方法を取りましょう。
なお、相続財産に含まれない故人の遺品は、形見分けとなります。

 

3.相続放棄、限定承認

相続人になった場合、3か月以内に相続放棄、もしくは限定承認の手続きを家庭裁判所に申し立てないと、借金しか残っていない場合でもそのまま相続することになりますので、注意が必要です。

 

4.遺産分割協議

相続財産の分割の具体的な分け方としては、大きく分けると、現金化してわけるか、現金にできない分を何かに代えて精算して分ける、となります。
たとえば、3人の子供が相続人だったとします。

 

相続財産が預貯金500万と、1000万の自宅のみだった場合、一人500万ずつわけるために、1人が500万の預貯金、一人が自宅、最後の一人には自宅を相続する子供が500万を用意して渡す、といった方法が考えられます。もちろん、自宅を売ったお金を預貯金に加えて3分割も考えられます。
相続人全員で具体的な分割方法が決まれば、遺産分割協議書を作成します。
 どの相続財産を、誰にどうやって分割したかを書面にしたものになります。
この協議書(相続人、関係者の捺印)をもって、不動産などは登記変更をします。
動産に関しては、相続人への引き渡しとなります。

 

基本的に、一度行った遺産分割協議はやり直しができません。また、相続放棄も取り消しはできません。慎重に行いましょう。

 

5.相続税

相続開始から10か月以内に、相続人は相続税が発生している場合、納税する必要があります。相続が確定していない場合でも、仮申告として納税の義務があります。仮申告の場合、配偶者軽減や小規模宅地等の特例といった優遇措置なしの状態で払う必要があります。その後、分割が決定してから還付の請求は可能ですが、2度手間になりますので、納税までに遺産分割協議を終了させるように逆算にてスケジュールを考えましょう。